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小さな取り組みから、大胆なアクションへ。未来に向かって伸びる大きな樹。
その種が芽を出し、葉を広げて、地域の中に少しずつ根付き始めました。
各地域の取り組み事例の中から、力をつけ、輝きを増し、
産業として育っていく様子を紹介します。
 四国の真ん中、吉野川流域に広がる嶺北地域。豊かな自然が手付かずのままに残る、恵みにあふれた地域です。過疎高齢化に伴う人口減少を食い止めようと、嶺北地域でも早くから移住への取り組みが進み、平成19年に「れいほく田舎暮らしネットワーク」というボランティアの移住支援団体が発足。移住を考える人たちに嶺北地域をよく知ってもらい、移住者と地域をつなぐ活動をしてきました。平成24年から地域アクションプランとして位置づけられ、町村と連携しながら本格稼動しています。将来の豊かなまちづくりを見据えた取り組みが進んでいます。
 高知県北部、本山町・大豊町・土佐町・大川村の4町村からなる嶺北地域。豊かな自然に引かれて移住を希望する人が多く、平成24年度は33組55人の人が移り住んできました。
 れいほく田舎暮らしネットワークが行っているのは、移住の促進と移住のコーディネート、移住後の暮らしのフォロー。各町村の移住支援機関の連携を図り、1町村でできないことや、町村間でのやりとりが難しいことを引き受け、成果につなげています。
 事務局長を務める川村幸司さんは、ご自身もUターンで、奥様の圭子さんはIターン。山の上にある古い実家を改装し、カフェを営んでいます。かつてはこのまちを離れて県外に進学した川村さんですが、今は改めてふるさとの素晴らしさに魅かれています。「この土地の未来を豊かにしたい」という熱い思いと、ご両親から受け継いできた人の縁が、れいほく田舎暮らしネットワークで事務局長を務める上での大きな動力となっています。
 「私たちは、ただ移住者が増えればそれで良いと思って活動しているわけじゃないんです」と川村さん。「これからの嶺北を地域の方と共に良くしていくための仲間探し」と考えています。移住を希望する人には、どんな暮らしを望んでいるのか、どんな環境に住みたいのかなどを細かく聞き、実際に来てもらって1泊2日で嶺北を案内。「農業をしたい」「モノづくりをしたい」など具体的な希望がある場合には、適当な人物から話を聞く機会を設けます。「希望の暮らしを叶えるためには、嶺北ではできないこともある」と、あくまでも本人の意向を尊重。他の市町村への移住を提案することもあります。そうして、心から自分が納得して決めた地域に移住することが、その地域への愛着と定着につながり、良い結果をもたらすと考えています。
 嶺北の4町村には、高速道路のICがありアクセスの良い大豊町、子育ての環境が整っている土佐町、食が充実し文化の中心でもある本山町、日本一人口が少ない大川村などそれぞれ特徴があり、自分に合う場所を選べることは、移住希望者にとって大きなメリット。地域の特性と合わせて紹介し、よりよい田舎暮らしを見つけてもらいたいと話します。
 移住を決めた人には、住居探しをサポートします。しかし、住宅として使えそうな空き家は数多くあるものの「いつかは帰ってきたいから」「荷物があって処分できないから」など、さまざまな理由で賃貸契約に至らず、空き家不足が課題となっています。また、家があっても水道がない、便利が良くても屋根や床の損傷がひどいなど、すぐには住めない状況。引き続き空き家物件の確保に努めていくとともに、行政にも住宅の建設を働きかけていきたいと考えています。
 その一方、「山水を引いて暮らしたい」「自分で大工仕事をしながら好みの家にしたい」など、物件が移住者のニーズに合う場合はとても喜んでもらえると言います。
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 実際に生活が始まると、都会と田舎の常識の違い、価値観の違いがトラブルになることもあります。ある時、嶺北の中心部に移住してきた人が、鶏を飼い始めたことがきっかけでトラブルになりかけたことがありました。移住者は「田舎に引っ越したら鶏を飼いたかった」と言い、地域の人は「こんな街中で非常識だ」と言う具合で、お互いに悪気はないのに「田舎」と「街」の認識のズレから誤解が生じたことが原因です。
 また、自然農法を目指す移住者と、慣行農法を営む地域の農家との間では、害虫や農薬に対する捉え方の違いから争いになったこともあります。
 このように知らず知らずの内に、それぞれが都会での常識や田舎での常識にとらわれていることから来る、勘違いや擦れ違いがトラブルの原因になっていることがほとんど。一つ一つ紐解いていくことで、お互いに理解が深まり、かえって関係が良くなることもあるそうです。
 れいほく田舎暮らしネットワークでは、そのようなトラブルを未然に防ぐために地域とのかかわり方をアドバイスしたり、移住者と地域の人との交流会を行って親睦を図っています。移住者同士の交流も盛んで、昨年から移住者が中心となって出店する「お山の手づくり市」が開催されています。地域の人にとっては珍しい顔、珍しいものが並ぶ楽しいイベント。月に1度の市で、あたたかな交流が生まれています。
*注:2014年3月より年4回季節毎の開催に
 東日本大震災を機に、神奈川県から移住してきた鳥山さん一家。ずっと「土に根差した暮らしがしたい」と移住の地を探していました。土佐町に初めて来た時、「ここでやっていきたい」と思い移住。移住の先輩、川村さんとは子どもの年齢が同じで、親としての思いを分かち合うことができたのも心強かったと言います。
 奥さまの百合子さんが願ったとおり、自然の中での子育てができ、田んぼで米を育て、季節の恵みを味わう暮らし。冬には薪を割ってストーブにくべ、その上で黒豆を煮ます。
 先人たちの知恵や技が受け継がれて、今の日本に無くなりかけたものが当たり前の文化として息づいている。そのことに感銘を受けた百合子さんは、「お隣のおばあちゃんにいろんなことを教わりたい。次の世代に伝えていきたい」と、この地でしっかりと根をはっていきたいと考えています。
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 県が主催する移住説明会では、「四万十川」をPRする地域のブースに人気が集まることが多いと言います。しかし、川村さんたちは、嶺北の魅力を「素敵な人たち」と発信しています。この地で活き活きと暮らす移住者たちと、昔からこの地で農業を営み、自然と共存してきた地域の人たちとの間にあたたかいつながりが生まれてきていることが川村さんの自慢です。この良さを少しでも多くの人に知ってほしいと、嶺北独自の移住説明会も行っています。
 嶺北一の産直市、「さくら市」でパン屋を営むのは、やはり震災を機に移住してきた佐藤さんご夫妻。東京の店を畳み、縁のないこの地にやってきました。いろいろな人と知り合ううちに、「ここでやってみないか」と厨房付きの空き店舗を紹介されました。多大な設備投資が必要となるため、パン屋を開業するつもりはなかったという佐藤さん。今では「さくら市」で買った新鮮な食材を使ってパンを作り、東京時代とは少し違ったラインナップ。大勢のお客様が佐藤さんのパンを心待ちにしています。
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 毎年恒例の「土佐町産業文化祭」では、移住者を紹介するブースが設けられ、それぞれの家族の写真とコメントを掲示。まちの人たちは、「あら、ようけ子どもがおるね」と笑顔を見せました。
 移住者増によってまちが活気づいたことを実感しながら、「人口が増えたことだけが要因ではない」と川村さん。移住者たちが嶺北にある豊かな食、素朴な味、昔ながらの慣習、伝承された文化を、声に出して「いいですね」と言うことが、まわりまわって何よりのエネルギーになっているように感じると言います。これまで当たり前のように思われていたことを拾い上げ、「素晴らしいこと」と大切にしてくれる人たち。
 ある時、神祭の総代を務めた移住者に、「よう引き受けてくれた。あんたがおらんとどうにもならん」という声が掛けられているのを見て、川村さんは胸が熱くなりました。
 「外から来た移住者を通じて、自分たちのまちの魅力を再発見する一助となったのでは」と川村さん。移住者を受け入れることへの理解が少しずつ広まっています。
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れいほく田舎暮らしネットワーク
土佐郡土佐町田井1450
TEL.0887-70-9820(れいほくNPO内:共用電話)
http://www.reihoku.in


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